ねっとり評論

耳揉庵 / sticky review (ねっとり評論) / アップトゥボーイ2001年5月号を買った

アップトゥボーイ2001年5月号を買った

 あまりグラビア目当てで雑誌を買わないようにしている。理由は、かさばるし、処分できなくなるから。それでもpure^2は毎号買っていたり、番組表が必要になればB.L.T.を買ったりということはしており、「買わないように」は達成されていないのだが、それにしてもいわゆる普通のアイドルグラビア雑誌を買ったのは久々のことである。アップトゥボーイ5月号。なんのことはなく、表紙のミニモニ。につられて買ってしまったというだけのことだ。もっともミニモニ。のグラビアは表紙を含めて全132ページ中7ページだけ。勿体ないので他のページも眺めてみて感想でも述べてみようと思う。

ミニモニ。 (表紙&p1-6)

 まずは目当てのミニモニ。から。表紙とp1は最早お決まりの、ハイアングルからの4ショット。小ささを強調する狙いか。いかにもここからミニモニ。のページが始まりますという感じ。口を閉じてカメラを見つめるような表情の表紙を、口全開笑顔のp1と見比べると、各々の目と唇の魅力が伝わってくる。特に矢口の大きく目を見開いて口をややとがらせた表情は、低身長とぱっちりおめめを武器に18年間生きてきた年輪すら感じさせる。逆に笑顔になると辻加護の若さが目立つ。ちなみに目次にも同じアングルの別カットが載っていて、表紙と同等かそれ以上に加護がふんわりしたいい表情をしているので見逃さぬよう。

 p2-p6は、作り物っぽい青空をバックにメンバー個々の写真。こちらは正面かややローアングルから撮った、小ささに依存しない写真。いずれも爽やか系だ。p2-p5はウェストショット1枚で1ページ。p2では矢口が表紙よりも更に口をとがらせて、人差し指でカメラの方を指さしている。体育会系の頼れる先輩という感じで、思わず頼りたくなる。その隣、p3の辻はこめかみに人差し指を当てて少し首を傾げている。困っているような、特に何も考えていないような表情。困っているなら助けてあげたい。同じ人差し指で正反対のイメージを醸し出している見開きだ。p4のミカは自然な笑顔。歯並びの良さが光るが、少し下に目を遣ると体のがっしりぶりがやや目立つ。p5の加護はおどけたポーズ。ポーズに気を取られて表情が中途半端になっているような気もする。p6は1/4ページずつの全身ショット。各々ポーズをとっているが、ここはもう両手を開いてジャンプを決めた辻の独壇場だ。テレビでテンションの低い辻を見ることが多いのでこういう写真を見るとホッとする。

 全体を通して、矢口=スポーティでリーダー的、辻=元気、ミカ=しっかり、加護=楽しい、という、典型的なキャラクター設定が感じられる。それ以外の面は「ミニモニ。Photo Book」で見てね、という良い宣伝にもなっているのではないだろうか。辻はもう少し表情に気を配った方がいいかも。加護は気を抜かなければOK。ミカは合格。矢口は、見る側の好み次第ということを解った上であんないろいろな表情をしているのなら良いと思う。具体的には、p6の矢口の表情は冷静に見るとちょっとなあとは思うけど、たぶん俺の好みではないだけで「悪い」わけではない。

鈴木杏 (p10-13)

 成長してシャープさが減少した感のある鈴木杏だが、p10の左側からのバストショットにはそれを感じさせないものがある。正面からばかり見てはいけないという好例だろうか。

 衣装は2パターン。一方は赤のノースリーブにジーパン、その上に革ジャンと帽子を被ったり脱いだり。もう一方は白のワンピース。少々肉付きがいい方がジーパン姿は映えるという意味も含めて、圧倒的にジーパンの方がいい。

 様々な表情を模索している感じ。あまり露骨に笑うと頬骨が目立つし、不機嫌系では以前「あきまへんで!」等のドラマで見せていた表情を越えるのは難しそうなので、歯を見せないスマイル程度が現在の鈴木杏のベストの表情なのではないかと思った。

AKINA (Folder5 宮里明那; p14-18)

 水面と青空をバックにちょっと体を曲げて微笑む短髪美少女! 二の腕太股全開! とまあ狙いすぎなほどベタベタなシチュエーションのp15。でも、たまりません。これぞ健康美。アイドルの王道。でも、髪をいじっていない、素の短髪で撮ったp14-16の7カットのうち、短髪を生かしているのは前述のベタベタの2カットだけで、後はもっぱら眼の力に頼った写真。確かに綺麗な眼ではあるけど。

 むしろ複雑に編み込んだp17-18の2カットの方が却って彼女の髪の魅力が出ている。p14-16の髪型はまとまりすぎているのに対して、人工的にとは言え適度にばらけて一本一本の髪の自己主張を引き出せている。

 もっともそれでも髪は「眼」の引き立て役に過ぎないようで、眼の透明感がとても良く出ているのに比べて髪の色がまるで顧みられていない感じがする。具体的に言えば、黒い部分がべったりした感じに、光の当たっている部分が青みがかった感じになってしまっている。これは惜しい。

 p18にちっちゃーく載ってるポラロイド写真がよく見ると素晴らしくかわいい。地べたに座り込んで腕を伸ばして前で組んだ姿を斜め上から撮ったショット。首が微妙にこっち(カメラ側)に傾いていたり、腕を組んだ関係で肩がすぼめ気味になっていたりするのも含めて、小さい故のかわいらしさがよく出ている。この写真を1/4ページくらい使って載せてもバチは当たらないと思うが、ポラではそうもいかないか。

乙葉 (p22-25)

 えっと、このテンションで書き続けると終わらないので、興味のないところはさっくりと飛ばしますです。

 かと言って乙葉に別段興味があるわけでもないのだけど、そう言えば名前はよく聞くけどちゃんと見たことはなかったなと思って。それにしてもすごい迫力のボディですな。もっと癒し系なヴィジュアルなのかと思っていたら、それほどでもない、どころかむしろワイルド寄り。「巨乳・癒し系」の全盛期は過ぎたということか。

小向美奈子 (p26-29)

 こちらも巨乳さん。やや短髪なので取り上げておこう。水着姿を斜め横から撮った露骨な巨乳強調ショットもあれば、服を着た写真もあり。着衣写真は取って付けたような感じがしなくもないけれど、「敢えて体のラインの出ないたっぷりした服を着ることで逆にボリューム感を強調する」という技もあるのだなということを学びました。まる。

 髪で言えば、p28の最上段右から2番目とか2段目の一番左の、微妙に服にかかっている後ろ髪がいいかな。それから、濡れ髪という技も使われているけれど、これはもう少し髪が短い方が効きそうな気がする。

平田裕香 (p30-33)

 またしても短髪巨乳さん。ほぼ全カット胸強調写真。特にp30-31はその傾向が強くて、笑顔が若干硬いのが気にならなくもないが、それが初々しさというものだと言われれば返す言葉もない。p30が柔らかめ、p31が硬めの画という印象を受けた。もう少し表情が洗練されればともかく、元の顔や体型が柔らかいので画づくりとしては硬めの方がいいのかも。という意味でp31の方をどちらかと言うと推し。悪く言ってしまえばp30はちょっと田舎っぽい。

 p32にたくさん載っている小さい写真に短髪の良さが出ている。特に中央の、水着姿で走っている2カット。モデルの動きにシャッター速度の負けている写真は本来は反則という気もするが、走って髪が揺れたり振り返って髪が顔にまとわりついたりという短髪ならではの艶っぽい動きはよく表現されていると思う。

 同じくp32の、白い水着で座り込んで遠くを見つめているようなカットは、狙いとしてはエロ写真なのかも知れないが案外いい表情。今回の写真は全部笑顔か口半開きなので、もっといろんな表情を見てみたいと思った。

 p33は逆光に浮かぶ短髪のシルエットがセクシー…のはずなのだが、今ひとつ印刷に上手く載っていないようで、まるで合成写真の切り抜き線みたいになっているのが残念。首を左に傾げているので左の髪は鎖骨にかかり、右の髪は首にかかるかかからないかで、右の毛先と肩の間から光が射し込む。上手く印刷されればすごく綺麗だったと思うのだけど。

 おっと、p87(トーサツTIMES)に3カット、面白顔の写真が載っていた。ということで、今度は真面目顔が見たいかな。

松浦亜弥 (p34-37)

 p34の写真が今の松浦亜弥の全て、と言ったら言い過ぎだろうか。すっきりした頬のライン、何かを哀願するようで、それでいて何かたくらんでいるような瞳、形のいい額。これらが全部p34の1カットに含まれている。何の説明も紹介もなくこの1枚だけがポツンとどこかに置かれていたら、この綺麗な子は誰だ? とみんな気になってしょうがないだろうと思うような、それだけ印象的な写真だ。

 p35の4カットは全身写真で、いずれもいたずらっぽさ、年(14歳)相応の幼さを出そうとしているようだ。しかし、わざわざここで4枚写真を見せてくれなくてもp34の1枚だけで言わんとすることは全て伝わり済みだ、と思ってしまう。強いて言うなら、強めに当てられた照明による陰影で、その透明感がより鮮やかに示されている、とでも言えば良いだろうか。

 p36は笑顔で腕と脚を露出。表情にやや硬さが残り、バランスが崩れているようにも思うが、元気さ、発展途上感が伝わってくる。p34で伝え切れていない松浦亜弥の部分があるとしたら、この写真で補完されたのではないだろうか。ふわりと浮かせた前髪が、額の形の良さと相俟って清潔な色気を醸し出している。

 p37は睨むような遠くを見つめているような、あるいはこちらの心を見透かすような表情。しかしこの程度ならやはりp34に包含されてしまう。もっとキツく眼で射抜くか、あるいは何か状況設定をして「不機嫌」の演技を付けてみた方がバリエーションになったのではなかろうか。

KEY TALK MARKET (グラビアではない; p63-66)

 興味のないとこやグラビアじゃないとこが続くのですっ飛ばしていたら、ミニインタビューを集めたこのコーナーで手が止まった。まずトップ扱いで石田未来。あちこちで見かける。この年代ではトップクラスの露出頻度だ。続いて江川有未。いい感じの丸っこい短髪だがコントラストの低いモノクロ写真なのでなんとも言えない。少し飛ばして、鴻口可南。一応、別人格という設定で話してはいるが、あのおはスタのKANAだ。KANAの時と同じノリの意味不明に近い話。もう少し表現に気を付けた方が身のためだと思う。KANA姿でない写真も載っている。うーん、KANA姿の方がかわいいカナ…。

NOW CATCH 2001 / 黒川芽以 (p81)

 吉田恵のエッセイだけは眺めつつ更にすっ飛ばしていくと、p81に黒川芽以が。黒川芽以を初めとする4名がそれぞれ制服姿で1ページ1カットずつ載っている。制服フェチ狙いの企画か。なんか最近見る黒川芽以の写真ってこの手のフェチ狙い写真(含、水着)ばかりのような気がする。普通の服でも行けると思うんだけど。

Visual Queen of The Year 2001 (p85)

 巨乳さん達に囲まれてピンクのビキニを着ている椎名法子が痛々しい…。

注目NEW FACEピックアップ! / 奥田綾乃 (p88)

 このところ必要以上に頬骨が目立って丸々とした感じになっていた奥田綾乃。このページの写真からはそれを感じないと思ったら、何のことはない。正面から陰影が出過ぎないように撮ればまだまだ十分かわいいではないか。短髪主義者、直毛主義者としては悔しいが、髪を伸ばしてウェーブをかけたのも奏功しているようだ。髪のボリューム感が顔の不必要な立体感を和らげている。もうPRECOCIの活動を追わなくなって久しいのだが、奥田綾乃のソロ活動に注目してみてもいいかなと思った。

松本まりか (p103-107)

 「六番目の小夜子」つながりで勝手に平田裕香と比較して「水着は辛いなあ」等と思ってしまうのはきっと間違っているのだろう。

 松本まりかと言えばえくぼというイメージ。それを敢えて崩そうという狙いなのだろうか、ほとんどが真顔のショット。p105の下の写真のように上目遣い気味にしたり、p107の写真のように意図的に強く見つめる表情にすれば、なるほどえくぼの頼らなくても綺麗だと思わせられる。一方、p103は目が腫れぼったいのもあってか貧相な印象。表情の幅を如何に広げていくかが今後の課題であろう。

 髪は顎のラインに沿って内向きにカールする短髪。p104のカットで綺麗な球形感が出ている。このカットは前髪も軽く中央で分けて浮かせた感じで、これも良い。このような前髪は童顔を強調するように思うが、笑顔を封印して撮るならこの形が彼女にとってのベストの前髪だろう。

 p107は敢えて毛先を軽くばらけさせた髪型。顔と前髪に薄目のピントが当たっていて、後ろ(横?)髪にばらけた毛先がぼけているのもこれはこれでセクシー。

 p105の股まで海面に浸かって仁王立ちしている写真。笑顔の写真の中にこれがあったらより印象的だったのだろうが、表情が他とあまり変わらないのでスレンダーボディを印象づけるだけに終わっている。肩を引いて胸を張っているような姿勢だが、これでは肩幅が狭く、すなわち顔の幅が広く見えてしまってあまり良くないように思う。

 前述の仁王立ちショットよりもむしろp106の背中全開の衣装で振り返るポーズがセクシー。余計な肉の付いていないスレンダーぶりを背中と腕で見せつけている。髪を後ろで束ねて横顔で耳を露出させているのも良し。前髪の浮き具合も、毛先がちょうど瞼の高さに来ていて絶妙。

おわりに

 まずは、水谷妃里や酒井彩名のレビューを期待した皆さんごめんなさい。鈴木杏で力尽きました。菊池亜衣のレビューを期待した皆さんごめんなさい。平田裕香で力尽きました。その他、さっくり飛ばしちゃったモデルのレビューを期待した皆さんごめんなさい。強い外圧があれば改訂するかもしれません。

 レビューするためにかなりじっくり目を通したので、\670払って買った分はペイできた気分になった。書かなければただのミニモニ。のための散財に終わっていたのだと思えば、書いて良かったような気がしてくる(書くために割いたエネルギーとかはこの際無視しよう)。

 ちなみに、これを書いたのはアイドルグラビア日記様に大いにinspireされてのことである。まともな、あるいは継続的なレビューが読みたい人はそちらを訪れることをお勧めする。それにしてもグラビアの評論というのは難しい、ということがよく解った。まあ、気が向いたらまたやりますというか、やっぱりpure^2とかのレビューをしないといけないのだろうか。


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